もどる ばしょ

そろそろ　さむくなる　きせつ
そろそろ　お化けのでる　きせつ

おまつりが　たくさん　あるらしい
おうさまも　おかあさんも　いそいそ　いっぱい　準備　してる。

じゃくろは　もともと　死人で　おばけ。
あまり　関係ない――かな？
いまは　みてる　だけ。


それよりも
そろそろ、工匠のよりしろ　戻ろうかな？
ねことうさぎで、いちごの魔王様がいくつかお洋服、くれたけど。
でも、“英霊の耐える力”だいぶ、鍛えたし。
そろそろ、元来のところ――狂戦士、立ち戻る　じかん。


いつもの　よりしろ　あるかな？
いつもの　白い　よりしろ、おもちの　よりしろ。
ざっと余ってるよりしろを　覗いて　みる。
けど、“狂戦士”と呼ばれるよりしろどころか、“破壊者”のよりしろにすら　おもちが　きえてる。


……あれ？
前　ちゃんとあった　よ　ね？
銀色に　きいて　みよう。




「もうないわよ」

がーん。

「大体あなたがその依り代に入ってから何日たってると思うのよ。
半年近いじゃない。
硬いままなら兎も角柔らかくしたおもちなんて、とっくの昔にカビカビよ」

がーんがーん。

「大体ね、あなたはもうちょっとまともな依り代を選択するべきなのよ。
戦力にならないじゃない、もちなんて」

がーんがーんがーん。


銀色の　容赦ないことば
じゃくろ　の　中で　ぐわんぐわん　いってる。

「戦士のその人型の方が何かと都合が良かったでしょう？
それとも何？
あなた、人は好きじゃないとでもいうの？」

……うん。
ひとは　すきじゃ　ない。むしろ……嫌い。


にんげんなんて、嫌い。



――ザ　　　ザザっ――


「下賤な鼠が、分不相応たこのことだな」
「妾が誰か知ってはおろう、ハイかYesの答えを返してさっさとやらぬか？」
「ゲッ、あいつと同部隊？敵も味方も全滅じゃねえかよ」
「厄病神、死神」
「ほほ、思うておるよりも丈夫じゃのぉ……まだ死なぬのかえ」
「さっさと逝っちまえ」


――ザ、ザザっ――



何かが　過ぎる。
ばらばらの　いやなものが　浮かび上がる。
いやなきもちが　こみ上げる。


……。


…………。


………………。


はぁ。
銀色のため息が、大きく聞こえて。
次に、しょうがないわね、と　気まずい雰囲気のなかを　切り出した。
「依り代、一体何が良いのかしら」

ぴくっ。
あのね、あのねっ――つよいのが良いんだっ。

「強いのって言っても色々よ？抽象的すぎるわ。
いったいどんな形なのよ」

え？形？
つよいのって、いうと……んーと、えーっとっ
あのね、えっとね……

「――はあ？
なれるわけないじゃな――肖るのね。
また……まぁ……でもそこまでのは相当魔石がいるわよ？
あなたが持ってる量じゃまだ無理よ、そんなへろへろでなっても意味ないでしょ？」

むー……

「強いもの・難しいものは相当の魔石を使うから、そんな無茶を叶えるならまず貯めてらっしゃいな。
もうちょっと簡単なところに――ああ、そうね、あなた、鳥が好きよね。
ちょうど良いのがあるから、それを準備しておいてあげるわ」

わーい。
なんだろう、なんだろう。
わくわく、わくわく。